翼状片とは
翼状片(よくじょうへん)は、白目の表面を覆っている半透明の膜の結膜が異常増殖し、角膜(黒目)に侵入してくる病気です。
多くは、目頭の方から三角形に、ちょうど翼を広げたような形で白目が黒目に伸びてくるため、『翼状片』と呼ばれるようになりました。
良性の疾患で、はっきりとした原因はわかっていませんでしたが、最近の研究では、長年にわたって紫外線や煤煙などにさらされていると、発症しやすくなると考えられています。
翼状片と症状
ごく初期のうちは見た目以外の自覚症状はありませんが、翼状片が伸びてくるにつれ、目の表面が凸凹するのでゴロゴロした異物感を感じたり、充血したりします。
また、結膜の部分はしばしば充血して赤く見えたり、目が疲れやすくなるため、頭痛や肩こりをうったえる方もいます。
中期になると、角膜が歪み始め、物がゆがんで見えたり、乱視が出始めます。
後期になると視力が低下し、翼状片が瞳孔を完全に覆った場合、視力が失われることもあります。
初発の場合は、非常にゆっくりと進行し、瞳孔領に至るまでは10年以上かかることが多くなっています。翼状片が角膜に侵入するに従って角膜が牽引され、乱視が出現し、視力低下が引き起こされます。また、瞳孔を完全に覆った場合、視力が失われることもあります。
翼状片の治療
異物感などの自覚症状をとるために点眼薬を用いることはありますが、現在のところ進行を抑える薬はありません。翼の部分が伸びすぎると視力障害を引きこすので、ある程度進行したものは、手術で切除することになります。
ただし、単純に切除するだけでは再発しやすいので、現在は切除後に有茎・遊離結膜弁移植や0.04%マイトマイシンCの塗布、羊膜移植などを試みて再発予防に努めます。角膜への進入の程度と、視機能低下の程度などを総合的に判断して、手術の時期が決められます。
再発率ですが、若年者(30~40歳代)では高く、高齢者では低いとされています。報告により違いがありますが、若年者の再発率は30~50%、60歳代以降では数%以下です。再発のたびに手術すると、球結膜が足りなくなって目に障害を起こす場合もあります。